秋田の伝承学 花輪ばやし

  • 絢爛豪華!花輪ばやしの屋台
  • 谷地田町と花輪ばやし
  • 鳴り響く、花輪ばやし
  • 花輪ばやし、はじまる!
  • まつりのあと

編集・文 矢吹史子 写真・船橋陽馬

花輪ばやし、はじまる!

8月19日、花輪ばやし初日。これから2日間にわたり、町じゅうが賑やかなお囃子で彩られます。
17:30。のろしの合図とともに、10町内すべての屋台が、神様が安置されている「御旅所おたびしょ」に集まります。修理を終えてピカピカに生まれ変わった谷地田町の屋台も、いよいよ動き出しました。

御旅所では、祭り開始の挨拶が執り行われ、その後、円陣を組み、花輪ばやし独自の手締め式「サンサ」が行われます。

「サンサンサントセ、オササノサントセ、ヨイヨイヨーイ」。
サンサが終わると、運行のスタートです。

各町内の屋台は町なかをパレード。途中、子どもたちによるお囃子のコンクールも行われながら、JR鹿角花輪駅前を目指します。

全ての町内の屋台が勢揃いする「駅前行事」は、この祭り最大の見どころのひとつ。昨年の、ユネスコ無形文化遺産への登録の影響もあってか、会場は例年以上の賑わいをみせるなか、各町内、順番に入場しては、熱のこもったお囃子で観客を湧かせます。

全ての町内がずらり揃った会場は圧巻の華やかさ! そしてここでも、ダイナミックにサンサが行われます。

駅前行事の様子は動画でご覧ください!

その後、屋台は各町内へと戻り、日付が変わるころから行われるのが「朝詰あさづめ運行」。ここでは、佐藤さんもおすすめの「町境ちょうざかい」の挨拶が行われます。

隣合う町内と町内のプライドをかけたお囃子の合戦。とくに、谷地田町と六日町の町境では、屋台と屋台がぶつかり合う、激しいやり取りが繰り広げられます。

町境の挨拶の様子は動画でご覧ください!

祭りが始まってみて印象的だったのが、賑やかなお囃子とともにある、厳格さ。提灯で先導する「取締」「外交」を筆頭に、折り目正しい運行がなされます。各町内を通過する際には、その都度運行を止め会所に挨拶をし、その町内へ向けて演奏する。

提灯も神聖なもので、その都度確認し、了承を得てからでないと地面に置くことを許されません。各町内とのやりとりの際も、外交が提灯を頭上に掲げながらやりとりをするのが鉄則。

陽気なお囃子と威厳ある運行。とても対照的でありながら、どちらの姿からもこの祭りと町内への誇りが感じられます。

午前3時を過ぎ、御神輿の安置場所である「枡形ますがた」に差しかかるとムードは一転、厳粛な神事に切り替わり、空も白んでくるなか、「追込み」というお囃子が奉納されます。

この日最後のサンサが執り行われると、明け方の澄んだ空気によく合う「霧囃子」とともに、屋台は各町内へ。熱く長い一日目の終了です。

次回、最終回は、花輪ばやし2日目をレポート。谷地田町の佐藤さんは引退となる日でもあります。どんなフィナーレになるのでしょう。

まつりのあと につづく

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