三吉梵天祭②ジョヤサ〜 ジョヤサ!
「けんか梵天」とも呼ばれる、激しい奉納のシーンが取り沙汰されることの多い三吉梵天祭ですが、あの荒々しさはどうやって生まれるのでしょう?今回は、1月17日の祭り当日、「広面」という町内に同行させてもらい、奉納までの一連の様…
編集・文:竹内厚 写真:蜂屋雄士
2018.04.04
縦書き看板こそ「細川蓄音器店」と書かれてましたが、店の中に一歩入ると、ジャンル別に分かれた棚にアーティストの名前順でCDがずらりと並ぶ、いわゆるCDショップの雰囲気。まずは、目当ての「カセットテープ」を探しました。
と、ありました! 店のいちばん奥の一角はすべてカセットテープ。すごい。これだけのカセットテープを販売している店って、最近ではまず見た記憶がありません。
ただし、よく見るとその9割9分までは演歌・民謡のカセットです。もしかして、トラック野郎の御用達店なんでしょうか。
店頭にいらしたのは細川護さん、信二さん。77歳の護さんが「社長」、その次男の信二さんが「店長」と呼ばれているそうです。
聞けば、信二さんで3代目。
今年で創業93年目という、カセットよりもレコードよりも長い店の歴史がありました。
——リヤカーを引いて家にやって来る音楽ショップ。そんな時代があったんですね。
ちなみに、看板の「蓄音器」の表記は当時から。「たいていの辞書では「蓄音機」と書かれていますが、うちが正解だって思ってます」とのことなので、ここでは蓄音器で通します。
肝心のカセットテープの話です。
——そうか、新舞踊の現場もカセットが現役なんですね。やっぱり演歌が中心になりますか。※新舞踊……日本舞踊を演歌、歌謡曲、民謡といった、現代に馴染みのある曲に合わせて振り付けした創作舞踊。
——おっ、そうなんですね。
確かに、店内をぐるっと見てまわると、J-POP、ジャニーズ、韓流、洋楽、クラッシック、ジャズ、アニメとひと通りのジャンルがすべて揃っています。しかも、どの棚もこまめに手を入れて、商品を随時入れ替えていることがよくわかります。とりわけ、J-POPの品揃えは相当フレッシュです。
信二さんは3人兄弟。中学生の頃から、兄弟の中でいちばん音楽好きが店を継ぐという話になり、その後、東京の大手レコードショップでも修行をして、秋田に戻ってきました。東京ではJ-POPを担当していたそうで、この人の音楽はいいと思ったら、きっちり盤を揃えて応援するスタイルを貫いてきました。
そう聞いてから改めてJ-POP棚をじっくり拝見。気になるアーティスト、アルバムが次々と目に飛び込んできます。手にとってジャケットの表と裏を見比べながら、どんな音楽なんだろうと想像する時間。この感覚、ものすごく久しぶりだなー。
というわけで、カセットテープの取材に来て、ついCDを買ってしまいました。取材陣3人でCD6枚。
他にも、秋田出身ミュージシャンの棚は、演歌もJ-POPも手厚くコーナーを設置。現在は演歌でしかやってないそうですが、月替りの売れ行きランキングをベスト40まで発表して、順位の変動を矢印で表すなど、町のレコードショップに欠かせない楽しみもあり。
そんなお店の愛称は「ホソレコ」。しっかり店の入口にも、商品を買った袋にもご機嫌なロゴで書いてありました。蓄音器に目を奪われすぎでしたね。
町の、秋田の音楽ニーズに合わせながら、自信を持って好きな音楽も発信し続けるホソレコ。話せば気さくな社長と店長にどうぞ会いに来てください。
【細川レコード店(細川蓄音器店)】
〈住所〉秋田市土崎港中央1-15-7
〈時間〉10:00〜19:00
〈定休日〉第2・3水曜日
〈TEL〉018-845-0020
〈ホームページ〉http://www.hosoreco.com/index.htm