レメデとむさご
シェフと大将が仲良しな理由
2018.06.27
編集・文:藤本智士 写真:高橋希
雄大な鳥海山を挟んでむこうは山形県という、秋田県最南端のにかほ市に「Remede nikaho」という名の一軒のフレンチレストランがオープンしました。ちいさな田舎町にできたそのレストランは瞬く間に地元の話題となり、連日満員。
兵庫県在住ながら、秋田の知人たくさんな僕のSNSのタイムラインは、いつしかその話題でいっぱいに。しかし、フェイスブックやツイッターはあくまで自分がフォローしている人たちの投稿が流れてくるだけなので、それをもって何かを判断してはいけません。これは自分の目で確かめるしかない!
ていうか、食べてみたい……
と、レストランの予約をしました。
ということで、まずは僕の豪勢な食事からお届けしますね。すみません。
アミューズ 酒粕のクッキー
お野菜達のテリーヌ
秋田魚介のブイヤベース
パンとバター
フォアグラと大竹のいちじく
ワイン
由利牛のロースト
りんごのブランマンジェ
以上、「レメデ」のお料理、いかがでしたか?
きっとみなさん気になるのはお値段ですよね?
今回僕は贅沢にすべての料理にワインをペアリングしてもらったので、それなりに……
ですが、この写真をみればみなさんきっと驚かれるはず!
メインを選べるコースが4000円?!(取材当時)
これ、安すぎないですか?
地元の人たちにとってはきっとなんでもない食材を、あらたなステージに引き上げていくその力量。それを多くの人たちに感じてもらうためのこのリーズナブルなお値段。さすがでした。
となれば、当然この人に登場していただかないといけません。
秋田県にかほ市「Remede nikaho」。
そのシェフを務める
あ、間違えました。
ごめんなさい。
一回忘れてください。
えっと、この人ではなくて、このお二人。
シェフの渡邊健一さん(38)と、スタッフの村上清香さん(37)にお話を伺いました。
- 藤本
- あの、いきなりなんですが、お二人はご夫婦なんですよね?
- 渡邊
- のちに、です。
- 藤本
- のちの! 木下藤吉郎的な? 別姓を名乗ってるわけじゃなくて?
- 渡邊
- 別姓になると思いますけど、まだ籍は入れてないんです。
- 藤本
- そうなんですね。
- 渡邊
- このバタバタが落ち着いたら。実はその話をまとめる前に、お店の話が舞い込んできたんです。あれよあれよと決まった話で、ここ半年ですね、にかほに移り住むことを決めたのは。
- 藤本
- そうなんですか。
- 村上
- 急でした(笑)。
- 藤本
- にかほとのご縁はあったんですか?
- 村上
- にかほって聞いたことはあるけど、どこだ?って。
- 渡邊
- ひらがななんだ……っていうぐらいの。
- 藤本
- っていうことは、秋田とのご縁もなかったんですか?
- 村上
- 秋田出身ではあるんですよ。
- 藤本
- お二人とも?
- 村上
- 私は秋田市です。
- 渡邊
- 自分は潟上市です。
- 藤本
- 秋田広いですもんね。ではこちらに来られる前は東京で?
- 渡邊
- そうですね。基本、東京です。専門学校だけ大阪に行って。ちょろっとフランスに行ったりして。東京には20年くらいいました。
- 藤本
- その間にいくつかのお店で修行されていた感じですか?
- 渡邊
- 6〜7店舗ぐらいで。変な話、その店が楽しくなったらもう終わりだなと思って、環境を変えるんですよ。楽しいっていうことは、ある程度できてるっていうことじゃないですか。
- 藤本
- ある意味、楽というか。
- 渡邊
- そうです。そこからはもう、ぬるくなるしかないので、次のお店に。
- 藤本
- おもしろっ。
- 渡邊
- 自分の5年後10年後が想像できたら辞めるんですよ。そうなったら、まったく未知のところへ行こうっていう、そんな感じですね。きっかけは。
- 藤本
- 会社員の方より、飲食業のみなさんって、独立意識が高い印象があるんです。やっぱり自分のお店を持つイメージは最初からあったんですか?
- 渡邊
- そうですね。それはありましたね。
- 藤本
- じゃあ東京にいる頃から秋田に戻りたい願望はあったんですか?
- 渡邊
- ないです。
- 藤本
- ないんだ。
- 村上
- 秋田は好きだったので、いつか帰ってもいいかなとは思ってたけど、まだかなっていう思いが強かったですね。いま帰ってもお家も仕事も車も探さなきゃいけないっていう苦労がまず先にあったし、東京でももっとやりたいことはいっぱいあったから。
- 藤本
- 渡邊さんもですか?
- 渡邊
- まだ東京で勝負したいなと思っていたので。ただ、二人一緒に働いていた銀座のレストランが閉店になってしまって。どうしようかなと考えたときに、東京でやってても面白くないよ、みたいなことをおっしゃった先輩がいて。
- 藤本
- なるほど。
- 渡邊
- 銀座の真ん中でやってると、同世代のシェフたちってけっこう元気がいいんです。タレントまではなってないんですけど、業界では……。
- 藤本
- 割と名前が見えてくる感じ。
- 渡邊
- ええ。確かにその方々と並んでも、特別、個性というかオリジナリティがないなと思ったんです。みんなを批判するわけではなくて。東京で、銀座で並んでても、立ってくるような完全なる個性というかオリジナリティが欲しいなって考えていて。地方に行けば、その地域をも自分の個性として表現する材料になるだろうっていうのを、ぼんやりと思ってたんです。
- 藤本
- なるほど。
- 渡邊
- あと、秋田の同級生が農家として無農薬の野菜を作ってるんですが、大量生産できないし、実際はとても大変な面を見ていたので、シェフとして、農家さんの素晴らしさを発信できないか? って思ってたんです。レストランは生産者の努力を発表する場になれるんじゃないかとか、そんなことを思っていたときに、このお店のオーナーの社長が、同じようなことをおっしゃっていて、お誘いしてくださったんです。
- 藤本
- お客さんだったんですか?
- 渡邊
- いえ、共通の知人がいて、同じようなこと考えてる秋田の方がいるよみたいな感じで、それで東京で何回か会って話して、一回にかほを案内してもらって。こういう場所なんだけど、どうにかしたいんだよねって。
- 藤本
- そういう出会うべくしての出会いがあったんですね。
- 渡邊
- 土建業からスタートして、いろいろと地域にないものをつくってきた会社で、なによりこの地域を未来にのこしていきたいと。このままでは孫の世代になったとき、何もなくなるよって、よくおっしゃっていて。それをなんとかしたいんだよ俺はって。
- 藤本
- いますぐ僕、その社長と会わなきゃいけない気がしました。
- 一同
- あはははは!
- 渡邊
- 熱いですよ。
- 藤本
- そういう世代の人で、そんな風に考えて実践してる人って、なかなか少ないですもんね。
ということで、後日ほんとうに社長と会ってきました。
「事業っていうのは、地域が良くならないと、自分のところも良くならないんだよな。地元をなんとかしたいなと思っていろんな取り組みをしている。渡邊くんもそういう情熱が“食”に対してあるんだよな」
三共グループ会長、三共ホールディングス 代表取締役社長
レメデ オーナー
安倍秋一さん(65歳)
- 渡邊
- かっこいいなって思います。
- 藤本
- そうですよね。めちゃめちゃかっこいい。
- 渡邊
- きつく言うと、逃げ切るというか。自分の下の世代は知ったこっちゃないみたいな人が多いですけど、そんな発言ができるあの年代の人ってすごいなと思って。
- 藤本
- そうですよね。
- 渡邊
- ただ最初のうちは、絶対独立するって決めてたんですよ。人の下にはつかないって。これまで苦い思いもしてきたから自分たちでやるって決めてたんです。だけど口説き落とされて。その意気込みというか、姿勢に惚れたっていうのもありますし。一回賭けてみようと思って。
秋田県にかほ市に、どうしてこんなにも素敵なフレンチがオープンしたのか? その裏には二人の情熱と、さらに一人のかっこいい大先輩がいらっしゃったことがわかりました。
しかしです。
にかほという、よいもわるいも田舎町でフレンチレストランを開業するというチャレンジは、実際とても困難だということは容易に想像できます。そもそも、知らない町にやってくるのはとても不安だったはず。きっと僕たちにはお話されてないような、不測の事態もたくさんあったかと思います。
それでもなお、お二人が信念を貫こうと頑張っているその陰にはこの人の存在がありました。
はい、そうです。
今度こそこの人。
この強面の方は、「レメデ」近くにある居酒屋「六三五」の大将、六平真さん(37歳)。いったいこの人と二人の関係は? 実は今回の記事、ここからが本題です。後日あらためてにかほ入りした僕は、「レメデ」の渡邊さんと「六三五」でお酒を飲む約束をしました。そこで見えてきた二人の関係は、地方で生きていくことのリアルにあふれていました。ぜひ読んでください。
- 藤本
- 前回、レメデさんを取材させてもらった後、とてもいい取材だったなあと思いながら帰ったんですけど、記事にするには何かが足りない気がしたんです。言い換えるなら「なんだかとても、できすぎている」と思ったんですね。にかほであんなフレンチのお店をやるって、どう考えてもめちゃくちゃリスキーじゃないですか。
- 渡邊
- そうですね。
- 藤本
- いま、ローカルの良さっていうのがしきりに言われる世の中だから、憧れをもって地方に引っ越してくる人も増えているなかで、僕はさらに突っ込んだリアルな話がしたいんだなって気づいて、そのときに思い出したのが、渡邊さんが帰り際に話してくれた「六三五」の話だったんです。
- 藤本
- この短期間でにかほの人との繋がりはどうやって作ったんですか?
- 渡邊
- 最初はやっぱり六三五ですかね。
- 藤本
- あの居酒屋の六三五?
- 渡邊
- そうです。来たからには全部の店を回ろうって、にかほの飲食店をいろいろ回って。その途中で六三五に。
- 藤本
- 店主の六平さん最高ですよね。
- 渡邊
- 最初はなんだコイツ? って思ってたんですけど(笑)。
- 藤本
- ある意味とがってるというか。
- 渡邊
- そうですね。割とマイナスな評判も耳にしたりしてたんで、一応、自分の目で確かめようと。3回くらいトライして、やっと入れてお話ししたときに、いいじゃんここ! と思って。
- 藤本
- 強面なだけでね。
- 渡邊
- いまはもう親友です(笑)。
- 藤本
- 同じ料理とはいえ、ジャンルは違うし、何より見た目からして「二人が仲良いわけない!」って思うし(笑)。
- 六平
- 動物で言ったら、ヘビと白鳥みたいな。
- 一同
- ははは〜!
- 藤本
- だけど本当に仲が良いのは伝わったので、これは六平さんも一緒に、あらためてお話を伺うしかないなと。そもそも六平さんは、レメデのオープンは、どうやって知ったんですか?
- 六平
- 二人がうちに来てくれたのもあるんですけど、噂は聞こえてきてたんですよ。それにハローワークにもフレンチの店って出てたので、「誰かがあそこでやるんだな」っていう感じには思っていて。
- 渡邊
- その情報の感じ、すごいですよね。
- 六平
- 田舎だね。
- 渡邊
- いついつオープンするって、みんなわかってるんだもん。それで、ここに来たのが、オープンよりも結構前の10月とか? こっちに来て割と早い段階で「六三五」の話は聞いていたんですよ。
- 藤本
- どう聞いてたんですか?
- 渡邊
- 「調子に乗ってるやつがいる」って(笑)。
- 藤本
- いい話だけじゃない?
- 渡邊
- なんなら、わるいほうが多かった(笑)。
- 一同
- ははは〜!
- 渡邊
- でも自分で確かめないとって思って、何回かトライしたんですけど、いつも満席で。ようやく店に入れたと思ったら「メニューがない」って書いてあるし。「これ、やる気ないんじゃないか?」って。
- 六平
- 実はその日座敷が満席だったんですよ。それで、「あと二人だったら、今日がんばろうかな」と思っていたところに、ポロっと入ってきたの。
- 藤本
- へ〜!
- 渡邊
- で、出てきたのがこのナリじゃないですか? 「やっぱり調子乗ってる!」って(笑)。
- 一同
- ははは〜!
- 渡邊
- でも、こうやって話して、料理が出てきたりしてるうちに「あれ? この人すげーいい人なんじゃないかな?」って思えてきて。
- 六平
- だって、世の中に、イケメンで料理美味しくて……なんて人、いないですよ!
- 藤本
- いやいやいや。いると思いますよ(笑)。
- 六平
- いる? ……ああ、そうか(笑)。
- 藤本
- で、そのときには自分たちが店をやるっていうのは告白したんですか?
- 渡邊
- はい。当初、話すつもりはなかったんですよ。自分たちのなかでまだ形がまとまっていなかったし、町を警戒してたところもあったりして。でも、ここで話してるうちに、ここなら言ってもいいんじゃないか? って思えてきて。
- 六平
- 俺も不思議に思ってたんです。ちょこちょこ変な食材出してるのに何も聞いてこないし。それが何かをわかってるみたいだったから。
- 渡邊
- それでお互い……。
- 六平
- 「ああ、ああ、聞いてた、聞いてた!」って。でもそういう出会い方で良かったなって思いました。
- 藤本
- じゃあ、会って一発目から意気投合感はあったんですね?
- 六平
- 一発目から深まってましたよね。
- 渡邊
- その後すぐに飲みに行きましたもんね。お互い真剣に料理をやっていることがわかったねって。それにそういう話ができたことを「嬉しい」って言ってくれたんですよね。
- 六平
- みんな毛嫌いするじゃないですか。俺もここで9年くらいやってますけど、意外と飲食店同士仲良くないことも多くて。それってあんまり良くないじゃんって。俺も同世代の人が飲食店やってくれたらいいなって思いながら9年経ってて。誰もいなかったんですよ。それで、歳近いし、面白いなって。
- 渡邊
- こちらも、このあたりは近い年代の人がやってる店がないなって思っていて、でもここに来て、同世代だし、すごく美味しいし、それにこのスタイルに感動したんですよ。メニューなしで「お任せ」一本っていうのは、自分の中で理想のスタイル。それをやってる人がすでにここにいた。
- 六平
- ちょうど、お任せをやり始めたのが去年の10月くらいなんですよ。9月に従業員が辞めることになって。それで最初はそのままやってみたんです。けど、天ぷら揚げてたら注文入ってくるし、それで焦がしちゃうしで、ああ、これは店をダメにするって思って。同じにかほ市の象潟にある「・・・」というお店のマスターがお任せでやってらっしゃるんで、相談したんですよ。「俺もお任せだけにしたいんだけど、どう思います?」って。そしたら「やれ」って。で、次の日からお任せを始めたんですよ。
- 渡邊
- ちょうどそのころに行ったんでしょうね。自分たちが聞いていた良くない噂っていうのは「店員の態度が良くない」とかで……たぶんアルバイトの人だと思うんですけど。
- 藤本
- いや、それ絶対六平さんのことですよ(笑)。っていうのは、僕も六三五に何回も来てますけど、六平さんは、正しく不機嫌になるんですよ。不機嫌になるべきときにきちんと不機嫌になる。
- 渡邊
- 正当な不機嫌なんですね。
- 六平
- お客さんが粗相してるのよ。だから怒るのよ。怒って教えてるのに、お客さんは帰ってから「態度が悪い」って。あなたたちが物を壊したりするから、俺は怒ってるの。
- 藤本
- そうですよね。だから、アルバイトの子じゃないと思う(笑)。
- 渡邊
- そういうのを聞いて、噂を全部塗り替えられたんですよ。自分たちが正しいと思っているスタイル、飲食業とは? っていうのを、この人がいればやり遂げられる、勝負かけられる。この地域住民の方々にすぐ理解してもらえなくても、自分たちも正しいと思うことをやろう。仲間が一人いるんだから、と勇気をもらいました。
- 六平
- うちは個性モロ出しですからね。変態でいいと思うんですよ、これからは。個性ないとお客さんは来ないし、誰でも作れるようなチェーン店さんのようなお店はこれからの時代には合わなくなる。働き手も飲み手も少なくなってきてるんだから。それこそ100人規模のチェーン店なんて、秋田からなくなっていくと思うんですよね。
- 藤本
- 9年って、結構長いじゃないですか。信念あっての9年だとは思うんですけど、ふつうは心折れちゃいません?
- 六平
- 10年以上生きていける飲食店って、5%くらいだって言いますからね。そりゃあいろいろありますよ。でも、とにかく自分の行きたい店っていうのがこの町になかったんですよね。だから自分でやるしかない、っていう思いもあって。
- 藤本
- それって具体的に言葉にするとどういうお店なんでしょう?
- 六平
- 「ちゃんとした料理」を出す店ですね。うちらは職人じゃないといけないって思うんです。きちんと出汁をひくとか、そういう当たり前のことをやるってのが便利な冷凍食品ばっかり使って忘れられてる。
- 藤本
- なるほど。
- 六平
- それで利益が取れていた時代はいいと思うんですけど、もう変わり目だと思うんですよね。冷凍食品って、そもそも飲食店のチェーン店用に作られたものなのに、いまは業務用だろうが家庭用だろうが一緒なわけです。
- 渡邊
- だったら家で食べようってなりますよね。
- 六平
- だから、うちはメニューはないし、禁煙にもした。でも、これからはそうじゃなきゃダメでしょ? ってほうに向かってると思うんです。
- 渡邊
- それをできる勇気ってすごいなって思いますね。長くやっていたなら尚更。ヘタしたら9年間のお客さんを切ることになる。禁煙とかも。
- 六平
- 禁煙にしたら来なくなった人も確かにいました。でも、来なくなった人たちは、じゃあ、うちに何しに来てたの? って。
- 藤本
- レメデさんにとっては、ある意味、六三五が地ならしをしてくれたというか。
- 渡邊
- 自分たちもそういった方向でやるつもりだったので、オープンしたての注目していただける時期に、このスタイルで注目を浴びて、自分たちの形をガッチリ作ってしまえば、もしかしたら地域性を変えられるんじゃないかな? って思いました。逆に言うと、そうしないと、やりたいことをやれない人生になってしまう。経営はそこそこ成り立つかもしれないけれど、料理人としては満足いかないし、地域としても何も変わらなくて、ここに来た意味がなかったってなる。
- 藤本
- 僕が最近強く感じるのは、チャレンジするためには安心が必要だってことなんです。外から見ると、ただただ無謀なチャレンジに見えても、実はその人なりの安心材料がたとえ小さくても確実にあるんだと思うんですね。だからレメデにとっては、この町に六三五があるという安心があって、だからこそ、あんなにジャンプできたんじゃないかって。
- 渡邊
- 絶対そうですね。六三五がいなかったらっていうのは想像ができないです。六三五が土地との距離を近づけてくれました。六平さんの言ってることが信用できるかできないかって、料理でしか判断できないんですよね。料理に対する姿勢が素晴らしいってなれば、自分たちはこの人いい人だ、この人が言うことは合っているって判断する。
- 六平
- あとは素材ですよね。素材をそのまま、難しくしないで食べさせてあげたいって。なんでもかんでもやりすぎちゃうと、おかしい料理になってきちゃうんですよ。
- 渡邊
- 山菜採りに連れていってもらうとわかるんですけど、この世代で、ここまで素材のことをわかってる人って少ないと思うんですよ。
- 六平
- だって、自分で山菜採りに行って、自分の店で出してる人って何人いるの? って。いないじゃないですか?
- 渡邊
- ほんとに好きなんだなって思いますよ。
- 六平
- 都会では食材は業者に持ってきてもらうのが当たり前だけど、俺は一切しないですから。自分で買いに行くし、採りに行くし。そこは絶対手を抜いちゃいけないところだと思いますね。見て食材買わないと。
- 藤本
- そういうのは、仕事を見たときに伝わってくるものなんですか?
- 渡邊
- はい。食べれば、見れば、嘘はついていないとわかります。それと、六三五さんのいいなって思うところは、なんだかんだ言って地域が好きなんですよ。なんとかしたいなっていう気持ちがある人なんですよね。その姿勢が素敵っていうか、諦めてない。いまほとんどの人が諦めてしまってる。六平さんは諦めないで商売をやろうとしていて、じつはこの人、一番真面目なんじゃないかなって。
- 六平
- うちらがこうやって出会ったのも何かの縁で、これからお客さんを作る人にならないといけないと思うんですよ。だからこそ、料理もお任せが一番いいと思うんです。「俺らが美味しいものを作るから、来てちょうだい」なんですよ。
- 藤本
- ちなみにレメデに最初に行ったときの感想って、どうでした?
- 六平
- 「やってくれたな」って思いましたね。
- 藤本
- ちなみに、レメデに行くときもこの格好で?
- 六平
- 最初はちゃんとスーツ着ていきましたよ。2回目からは襟が付いた和柄。3回目はミッキ―のTシャツで行きました(笑)。ま、次行くときは、ランニングシャツになるでしょうね。ネクタイだけ締めて。
- 一同
- ははは〜!
レメデとむさご。一軒のフレンチと一軒の居酒屋の出会いが、この町の未来を大きく変えていくような気がしています。
【Remede nikaho】
〈住所〉にかほ市平沢家ノ後49-1
〈時間〉ランチ 12:00〜16:00(L.O.14:00)
ディナー 18:00〜22:00(L.O.20:00)
〈定休日〉不定休※HPにてお知らせします。
〈TEL〉0184-74-7065
〈HP〉https://remede.jp/
【酌屋 六三五】
〈住所〉にかほ市平沢天ヶ町34-1
〈時間〉17:30〜23:00
〈定休日〉日曜日※その他都合によりお休みすることがあります。
〈TEL〉0184-36-2985
〈Facebook〉https://www.facebook.com/635evolution/