なんも大学 県のメディア卒業記念対談?!
「日野さんはどうやってますか?」
2016年より、丸5年間発行してきました、秋田県のウェブマガジン「なんも大学」。2021年3月31日をもって、秋田県としての発行を離れ、次年度からはこれまで運営を担ってきた「のんびり合同会社」が引き継いでいくこととなりま…
編集・文:矢吹史子 写真:高橋希
2021.07.21
そのとぼけた佇まいに、思わずニヤリとしてしまう「真坂人形」。これは、秋田市の真坂歩さんが制作している土人形です。
とくに秋田県内では大変な人気で、展覧会には人形を求めて初日からファンが押し寄せるほど。不思議と心を掴まれてしまうこの人形の魅力に迫ろうと、工房を訪ねました。
——この人形はいつ頃から作られているんですか?
——八橋人形といえば、職人だった方が亡くなられたものの、その後、保存会を作って技術を受け継いでいるんですよね。
——最初に人形を発表されたのが、美大3年生の専攻展(各専攻コースの成果展覧会)の場でしたよね?
——そこで作品を拝見したんですが「秋田の土人形を踏襲した新しい人形が現れた!」ととても驚いたのを覚えています。でも、今日お話を聞いていると「土人形の文化を守らねば!」という思いでのスタートではなかったんですね。
精巧精緻・愛嬌満載がモットーという真坂人形。実際、どのようにして作られているのでしょう?制作工程を伺います。
——想像以上に手間がかかっているんですね。日本画の絵の具を使うのにも驚きました。
——日本画をやりたかったところから人形へ移ったのは、なぜなんでしょう?
——大学を卒業してからは、地元企業で働きながら制作をしていたそうですね。
——秋田県外に出ることは考えませんでしたか?
——始めたころは伝統的なモチーフで作られていたようですが、最近は現代的なモチーフも取り入れていますよね。どんなふうに決めているのでしょうか?
——「ゆるい」とも「かわいい」とも違う魅力がありますよね。
——型や日本画の絵の具を使っていたりと基礎の部分がしっかりしているからか、モチーフが個性的でも、とても品の良さを感じます。海外の方にも喜ばれそうですね。
——ご自身は、どんなところが魅力と感じていますか?
——敢えて表情を持たせないことで、どんな感情のときに見ても気持ちにフィットする、というのはありますよね。手にされた方からの反響はどうでしょう?
——確かに、歴史やいわれがある物は、その背景まで味わえるものの、それを持つことで背負うものもあるように感じます。その点、真坂人形は気軽に、フィーリングで買っていけるのかもしれませんね。
——郷土玩具は、昔は朝市で野菜と一緒に販売していたなどとも言われていますよね。
「真坂人形の人気の秘密、ここにあり!」というものを見つけたいと思い向かった取材でしたが、話を聞くほどに、文化を守るために始めたわけではない、作品に深いメッセージがあるわけでもない、王道でも突飛でもない、ゆるいでもかわいいでもない、郷土玩具でもアート作品でもない……その実態は掴めそうで掴めないのです。
でも、それこそが真坂人形の魅力。掴もうとなんてしなくて良い、気楽でいることを認めてくれるような人形だからこそ、多くの人の心の中にすっと入って、愛され続けているのかもしれません。
【真坂人形】
〈HP〉https://masakasyouten.jimdofree.com/
【近日開催の展覧会のお知らせ】
真坂人形展『思いもかけないサマーショッピング』
●2021年8月4日〜15日(月・火休み)
●会場 :DECOLA(東京都足立区綾瀬4-31-7 2F)