「住んだ場所がたまたま映画館だったから」で
劇場を復活させた家族に聞いた「家」の話
全国各地で、日本人が先を争うようにして映画館に駆けつけた昭和20年代。昭和27年(1952年)に開館した、秋田・大館(おおだて)市にある映画館・御成座(おなりざ)もそんな劇場のひとつでした。それから約50年。2005年に…
編集、文:矢吹史子 写真:船橋陽馬
2019.12.18
小坂町を旅するなかで「かつらーめん」という名物があるとの情報を入手。
それは、ラーメンの上にトンカツが乗っているというものだそうで、町のソウルフードとして、数店舗で展開しているとのこと。ラーメンとトンカツ……想像しただけでも圧倒されてしまいますが、小坂のみなさんに愛されている味とあらば、チャレンジしないわけにはいきません!
無事に食べ切ることができるものか不安を抱きつつ、かつらーめんを食べ歩いてみることにしました。
最初に向かったのは「日本料理 奈良岡屋」。店の前に着くなり、ありました!「かつらーめん」ののぼり。どんなものが待っているのでしょう。のれんをくぐってみます。
——こんにちは。こちらで、かつらーめんがいただけるとのことですが……。
——では一杯、お願いします! かつらーめんという存在自体、初めて知ったんですが、これはいつ頃から食べられているものなんですか?
——では、こちらが、かつらーめん発祥の店なんですね! 小坂町では、いろいろなところで食べられると聞きました。
——そんなにあるんですね。食べきれるかな……。
——それにしても、ラーメンにトンカツが乗るなんて、ボリューム満点すぎませんか?
——はい、硬めでお願いします!
——いただきます!
おっしゃるとおり、食べ進めるほどにスープの味が変化していきます。後半になると甘みが出てくる感じが、甘じょっぱいもの好きの秋田県民の舌には嬉しい。
さらには、卵がスープと混じり合うと天津麺のような趣きも楽しめる欲張り感!
カツは食べやすい厚さで、スープに混じって徐々に衣がふやけてくるのもいい。
一杯のどんぶりの中で、さまざまな味わいや食感が楽しめました。
奈良岡屋では、昼は麺類、丼もの、定食などを中心に、夜はお酒に合う和食などを中心に提供しているそうです。
【日本料理 奈良岡屋】
〈住所〉小坂町小坂鉱山栗平19-5
〈TEL〉0186-29-2040
〈営業時間〉11:00〜20:00
日曜定休
続いてやってきたのは、奈良岡屋のすぐそばにある、「みんなの店 わいわい」。こちらは、社会福祉法人が運営する店。店内では、かつらーめんをはじめとする食事やお茶を楽しみつつ、地元の方お手製の野菜や漬物、加工品などを購入することもできます。
早速、かつらーめんを注文。こちらのスープは塩味とのこと。
卵でとじないタイプのかつらーめんがお目見え。透き通るスープに浮かんだカツが美しい! 出汁にはなんと、こちらの社会福祉法人が運営している施設で飼育している比内地鶏からとったものを使用。地鶏ならではのコクがありつつもさっぱりとした塩味は、こってりしたカツと相性抜群!
カツの衣は厚みがあり、スープに沈みきっていないので、序盤はガリっとした歯ごたえがあり、徐々にスープを吸って柔らかくなっていくのを楽しめる。衣からはほんのりとパン粉の甘みも感じられるのもいい。
こちらの店は、比内地鶏が名物のため、親子丼も人気とのこと。今度はそちらもいただいてみたいです!
【みんなの店 わいわい】
〈住所〉小坂町小坂鉱山栗平23-1
〈TEL〉0186-29-2061
〈営業時間〉11:00〜18:00/小坂町市日開催日(1・5の付く日) 8:30〜16:30
日曜定休(小坂町市日開催日 は営業、翌日休)
続いてやってきたのは、「とんかつ 栗平」。トンカツ屋さんによるかつらーめんです。こちらのお店も、奈良岡屋さん同様、昼は定食や麺類が人気で、夜はお酒も提供されているとのこと。
やってきました、かつらーめん。こちらも、卵でとじていないタイプ。そして、醤油味のスープです。ネギ、メンマ、なるとに、お麩も乗っています。
トンカツ屋さんということで、まずはカツから……と、箸で持っただけで違いを感じます!とにかくカツが分厚い。一口食べてみると、外はサクサク、中は柔らかくてジューシー!! 脂身も甘みがあって風味豊か。さすが、トンカツ屋さんの仕事!
まわりを見渡すと、カツカレーを注文している方もちらほら。このカツの美味しさなら、きっとカツカレーも美味しいはず……と、そろそろラーメン以外のものが恋しくなってきますが、次の店へ向かいます。
【とんかつ 栗平】
〈住所〉小坂町小坂鉱山栗平11-29
〈TEL〉0186-29-3461
〈営業時間〉11:00〜14:00/17:00〜23:00
日曜定休
続いてやってきたのは「ドライブイン・下野」。ドライブインということで、店内にはトラック運転手さんや恰幅の良い男性客でいっぱい。他のメニューとは別扱いで「かつラーメン」が掲げられています。
やってきたのがこちら。今度は卵でとじられているタイプ。この食べ歩き初の味噌味のラーメンです。上に乗った辛みそが食欲をそそります。
こってり、野性味溢れる味噌味のスープに卵が溶け込んで、全体をまろやかにしてくれてます。そのスープをふんだんに吸い込んだカツの下にはシャキシャキのもやしが見え隠れ。
別添えの紅ショウガを乗せると、かつ丼の面影もちらり。すべての具が混ざり合ってきたころに、ピリリとアクセントになってくれる辛みその存在も嬉しい。
ドライブインならではの、ワイルドなかつらーめんでした。
【ドライブイン 下野】
〈住所〉小坂町小坂字大稲坪64-1
〈TEL〉0186-29-5343
〈営業時間〉10:00〜20:00
不定休
最後に訪れたのは、伊勢家 大昌園。焼肉店のかつらーめんです。こちらには、2種類のかつらーめんがあるとのこと。
一つ目は「がんばるかつ麺」。塩、味噌、醤油から選べるなか、醤油味をセレクト。やってきたのがこちらです。
真っ赤な、いかにも辛そうな見た目に、恐る恐るスープをすすってみると……全く辛くない!! むしろ程よい甘みが感じられ、食が進みます。
こちらのスープは、カルビスープをベースに、にんにく、唐辛子、調味料をもみこんで寝かせた「ヤンニンジャン」というものを使っているそう。
カツは上面はサクサク、下面はスープが染み込んでいて、食感が楽しい。
カツを卵とじするタイプではないものの、ラーメンの具材として入った卵が、全体をまろやかにまとめている。ほかにも、豚バラ、タケノコ、しいたけ、ネギと、具だくさん!
そして、2つ目にやってきたのがこちら。「たたらかつラーメン」。
鉱山の町、小坂ならではの「たたら炉(古代の製鉄法)」をイメージした見た目が楽しい。
こちらも、塩、味噌、醤油から選べるなか、今度は味噌味を注文。
一つ目の「がんばるかつ麺」同様の真っ赤な見た目ですが、先ほどのスープよりはやや辛め。韓国唐辛子がピリリとアクセントになっています。
具材にはキャベツ、もやし、にんじん、そしてゆで卵と白髪ねぎのトッピング。野菜がふんだんに使われているのと、カツも重たくなくて、見た目のボリュームに反して食べやすい!
こちらの店は、タレなどはほぼ手作りで、化学調味料は使わないようにしているとのこと。スタミナたっぷりなうえに、健康にも配慮。体の底からエネルギーが湧いてくるかつらーめんでした。
【伊勢屋 大昌園】
〈住所〉小坂町小坂鉱山栗平11-1
〈TEL〉0186-29-2475
〈営業時間〉11:00〜14:00/17:00〜21:30
月曜定休(不定休もあり)
全部で5軒を訪ね、さすがにもうお腹いっぱいですが、「かつらーめん」というもの介して、それぞれの店が個性をしっかり見せており、とても楽しく巡ることができました。
胃袋のコンディションやその日の気分に合わせて、小坂のかつらーめんを食べ歩いてみてはいかがでしょう?