秋田もっちり旅③ミルク焼
佐藤ジュンコ イラストレーター。福島生まれ、福島育ち、仙台暮らし。月刊誌「PHPスペシャル」、ミシマ社ウェブマガジン「みんなのミシマガジン」、河北新報夕刊にエッセイマンガ連載中。宮城県内の見所を紹介する「マッチ箱マガジン…
編集・文:竹内厚 写真:船橋陽馬
2018.09.19
仁賀保から金浦にかけて、周辺にTDKの関連施設を多く見かけます。TDKといっても、もしかすると若い世代によってはピンとこないかもしれませんが、カセットテープ全盛の時代、カセットといえばTDKが定番でした。
にかほ市は、TDKの創立者の出身地であり、創業期から現在まで生産拠点であり続けています。
いまでは、従業員の9割が海外勤務だというTDKですが、にかほ市との関係は保ちながら、2016年にはもとあったTDK歴史館をリニューアルして、TDK歴史みらい館がオープン。
話題の“チームラボ”によるコンテンツなども楽しめるTDK歴史みらい館、個人的に惹かれたところを3つに絞ってあげていきます。
ひとつめ!
TDKは、積層チップをはじめとする電子部品が主力商品。だから、ケータイ電話から車まで様々な製品に部品が使われているのですが、技術者でもなければ、そのことを知る機会がありません。
そこで、説明をわかりやすくするため、展示されている電化製品の多くは、内部をむき出しにした状態で紹介されています。
普段あたりまえに目にしている電化製品がハダカになった状態。見た目にも面白くて、すぐ身近にこんなに知らない世界があったのかと勉強になります。
ふたつめ!
TDK歴史みらい館は、前半がTDKの歴史、後半が未来という2部構成になっています。その未来サイドの呼び物が、ウルトラテクノロジスト集団として知られる“チームラボ”の体験型シアター。
チームラボによるイベントや展覧会は、いまや全国各地でいろんなテーマで行われていますが、ここではTDKが培ってきた技術にちなんで、宇宙の磁性やエレクトロニクスなどがテーマに。え、何? エレクトロニクスって……と思うかもしれませんが、大丈夫。チームラボならではの、全身で映像を体感して、感覚的に遊べる空間なので、誰でも楽しむことができます。
宇宙から電子までの世界を行き来しながら、その中に入りこんでしまえる体感型映像。チームラボのインタラクティブな表現や技術によって、教科書のように記述されても読み飛ばしてしまいそうな科学的知識を見事にエンターテインメントに変えていました。
みっつめ!
磁性や電子部品という専門的ともいえる内容について、とてもかみくだいて、あの手この手でわかりやすく解説してくれるところ。
展示デザインのよさといえばいいでしょうか、チームラボの起用も含めて、どのように見せて、伝えるかの工夫がたくさんありました。
TDKは磁性材料「フェライト」を初めて工業化したということでこのTDK歴史みらい館ではフェライトという用語をよく目にします。そして、近隣にはフェライト子ども科学館という施設も。
これまであまり耳馴染みのなかった言葉なので、フェライトがにかほのひとつの思い出になりました。
【TDK歴史みらい館】
〈住所〉にかほ市平沢字画書面15
〈時間〉10:00~18:00(最終入館時間 17:30)
〈休館日〉月曜日(祝日の場合はその翌日)※臨時休館あり
〈入館料〉無料
〈TEL〉0184-35-6580