8月20日、花輪ばやし2日目。谷地田町、佐藤さんはこの日がお祭り引退の日。どんなフィナーレとなるのでしょう。
前日同様、この日も大勢の観客が待つなか、駅前行事が行われます。その後、幸稲荷神社のある「赤鳥居」に全ての町内の屋台が詰めると、祭りの終わりを告げるサンサが行われます。
サンサを終えて、待機していた屋台に戻った佐藤さんを迎えていたのは、なんと屋台に掲げられた横断幕。そこには「俊 ♡ FOREVER」の文字が! これまで一緒に運行してきた、仲間たちからのサプライズでした。
- 佐藤
- いや〜、泣きそうですよ〜!
- 矢吹
- 泣いてもいいですよ〜。
- 佐藤
- いやいや、笑顔で終わりたいですよ! ……こみ上げてきますね。
- 矢吹
- 素晴らしいサプライズですね!
- 谷地田町 藤井脩平さん
- こっそり作るのは大変なんですよ。だから若い連中に隠密に作ってもらって。うちわも作ったので、このあと見せびらかしていきますんで!
- 矢吹
- 毎年卒業生には、歴代こういうサプライズを?
- 藤井
- そうですね。
- 佐藤
- でも、まさかの展開ですよ! ようやく実感が湧いてきました。これで現役終わりなんだなって……。もう提灯が持てなくなるっていうのは大きいですよね。これを持っている以上は実働部隊である実感が持てるんですけどね……。
- 矢吹
- ここまで、あまり考えないようにしていたんじゃないですか?
- 佐藤
- してましたね。でも、涙は流しませんよ。祭りは楽しいものですから! このあと町内に戻ったら、提灯持ってたやつらで太鼓叩きますから!
- 矢吹
- わ〜ついに! 楽しみにしています!!
祭りの運行はこれでほぼおしまいとなり、ここからは、お囃子を奏でながら各町内へ戻ります。
赤鳥居を出発すると、各町内の代表が佐藤さんを握手で激励。よその町内の会所や、沿道で見守る地域のかたからも「おつかれさま」の声がかけられます。なかには「小さいころから知っていて親の目で見てしまうから、たまらなくなっちゃうんだよな」と漏らす人も。
そうやって、町のみんなが佐藤さんを労う様子を見ていると、この祭りを行うことで、町内を越え、町全体で一人の人を育ているんだと実感させられます。
町内へ戻ると、最後の演奏が始まりました。ここからは、これまで取締や外交として提灯を掲げていた人たちが、叩き手に。もちろん、その中心となるのは佐藤さんです。演奏が始まると、この2日間、町内の代表として真剣な表情をみせてみなさんが一変、これまで抑えていた気持ちを爆発させ、満面の笑みでバチを振ります。
長い長い2日間を終えての、佐藤さんの第一声は「やっぱり祭りはお囃子だ!」。
そんな、充実した様子の佐藤さんに今の気持ちを伺います。
- 佐藤
- みんながいたからやれました。総力戦ですよ。やっぱり、この祭りを廃れさせてはいけないな、と思います。
- 矢吹
- はい。
- 佐藤
- 過疎化は深刻ですが、今明確に言えるのは、後輩たちに苦労させないような運営をしていかなければ、ということ。私は卒業はしますが、できるだけバックアップしていきたいと思います。正解はないと思います、祭りを続けていくには。でも、この定年制度も見直さないといけないときなのかもしれません。いま中心となっているみんなも30代。あと10年を切ってますからね。
- 矢吹
- 引き際の美学っていうのもあると思いますが、背に腹は変えられない時期にきているのかもれませんね。
- 佐藤
- 人がいなきゃできませんからね。人あってのお祭りですよ。
- 矢吹
- 祭りに関わる人が少なくなっていってしまうことは、どうしても止められないのかもしれませんが、大人に混じって小さな子たちも盛り上がってましたね!
- 佐藤
- 英才教育ですよ(笑)。成長していつか祭りの中心になっていってほしいんですけれどね……。それでも、この祭りは「楽しむ」ということがバックボーンなのは間違いありませんから、これからのみなさんには、とにかく楽しんでやってもらえれば。
- 矢吹
- さっきの佐藤さんのお囃子で、全て伝わったと思います!
- 佐藤
- みんな、こんなにしてくれてね。
- 矢吹
- ほんとに素敵な町内ですね!
- 佐藤
- 一致団結してると思いますよ。嬉しい限りです。ほんとうにありがとうございます!
最後に、佐藤さんの最後のお囃子を、動画でご覧下さい!
谷地田町 佐藤俊さんの言葉が
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