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編集・文:竹内厚 写真:蜂屋雄士
ブレンド米という知られざる世界への誘い。
平沢商店(秋田市大町)
2018.04.25

お米を買うときは、あきたこまち、コシヒカリ、ひとめぼれなど、銘柄を指定して買うのがごく一般的だと思います。米どころの秋田にあっては、実家や親戚、知人からあきたこまちをもらっているという人も少なくないようです。
そんななかで、積極的にブレンド米の販売も続けるお店が秋田市にありました。一体、どうしてまたブレンド米なんでしょう。

平沢商店の平沢敦さんは、家業の米屋を継いで約35年。ちょうど「あきたこまち」が誕生したのと同じ年に米屋となったといいます。
当時はまだ、米の流通・販売は認可を受けた業者に限られていたこともあって、米屋の商売はかなりシンプル。精米された米を仕入れて販売、配達することでも成立していました。ところが、そんな米の流通規制も1995年には大幅に緩和。当然、ただ店に並べて売るだけでは、量販店に太刀打ちできない時代がやって来ました。
平沢
- 米のブレンドっていうと安売りとかごまかしのイメージがありませんか。このひとつの原因が、1993年の冷夏の影響で、翌年には米のパニックのような状況になって、全国の米屋のほとんどがむりやり外国の米を混ぜたブレンド米を売らされたんです。これではほんとにいけないと思って、自分の店に精米機を導入して、お客さんに納得いただけるようなお米を売ることを考えはじめました。

精米機といえば、街角にあるコイン精米機のイメージだった人にとってみれば、巨大に感じる平沢商店の精米機。「これでも小さい方」なんだそうです。コイン精米機は便利なようでいて、白さを調整する選択の幅がせまくて、多くの人が選ぶ「上白」では、米の水分が蒸発するくらいに温度が高くなりすぎて、米をダメにしてしまうケースも少なくないとのこと。
農家が身近なだけに、玄米の状態で手にする機会の多い秋田県民が、実はその精米段階で米を損なってしまって、おいしいごはんを食べてない可能性もあると平沢さんは言います。
平沢
- 精米ってすごく奥が深いんです。私の祖父の代くらいだと結構、それは当たり前のことで、米屋には精米機が必ずありましたし、仕入れにしても産地から船で運ばれてきた米を目利きして、選ぶということをやってました。私も赤ん坊の頃は、精米所の真ん中でカゴに入れて放ったらかされてたそうです。

米と米屋の当たり前が少しずつ変化してきた現在、平沢さんはさまざまなチャレンジを続けています。ブレンド米もそのひとつ。寿司や鰻といった飲食店からの「単品銘柄では物足りない」という声を受けて、3-4種類の銘柄を配合、握りやすくハラリとした食感の寿司米や、鰻のタレが染み渡り、粒感のある鰻重米など、職人さんの要望に合わせた米を生み出しています。さらには、ブレンドすることで、もっちり好きもあっさり好きもおいしいと感じる万人向けの味にしたり。こちらはお弁当にオススメで、冷めたときに真価を発揮します。
平沢
- やみくもにブレンドをするというわけではないですし、単品でも十分に自信を持って販売できる米が原料です。味の相乗効果で、やっぱりブレンドでしか出せないうまみというのもあります。5年前から、春夏秋冬の季節にあわせたブレンド米も仕立てています。秋は新米の香りが楽しめるように、白さを抑えた精米とか、冬ならお鍋にあうもっちりタイプとか、それを楽しみにしてくれている人も多いです。天候によって品質は毎年同じじゃないので、使う銘柄や配合も違ってきます。 実は、米屋を継ぐ前は、珈琲の卸会社で5年ほど修行していました。珈琲の世界ではブレンドが当たり前。お客さんに合わせて豆を配合して毎朝試飲、値段まで設定するということをやっていました。その経験も少しは生きてるのかもしれません。珈琲の仕事をしたのはほんと、たまたまなんですけどね。

自宅では365日の朝昼晩、違った米や炊き方でごはんを食べる。夏場の休日はほぼ田んぼ巡りに費やして、生産現場を自分の目で見てまわる。だからこそ、「何でも聞いてください」と米のよろず相談所として悩める家庭や飲食のプロからも信頼される存在に。
あまりに日常で意外と見直すことの少ないごはんのこと。プロフェッショナルな平沢さんと話していると、新しい米の世界が開けてきました。


【お米の専門店 平沢商店】
〈住所〉秋田市大町5丁目7-18
〈時間〉8:30〜19:00
〈定休日〉日曜・祝祭日・年末年始
〈TEL〉018-862-4032
〈ホームページ〉http://www.umaiokome.com/