

ノーザンハピネッツは「秋田の」クラブチームである。そのことを常に意識している、と話していた水野社長。では実際、ノーザンハピネッツは、秋田の人々に、秋田の暮らしに、どんな変化をもたらしたのでしょうか? 最終話では、水野社長とブースター、双方の思いに焦点を当ててみたいと思います。

- 鈴木
- チーム立ち上げのきっかけとして「みんなが夢中になれるものがあれば、秋田はもっとよくなる」という思いがあったと伺いました。設立8年目の今、水野社長ご自身が「秋田が変わった」と実感するところはありますか?
- 水野
- 変わったかどうかはわからないのですが……。僕には「ノーザンハピネッツは交流の場であってほしい」という思いが一貫してあります。僕がアメリカやオーストラリアで体験したような、スポーツの話で盛り上がったり、人の輪が広がったりということが秋田でもできればいいなと。それがこの8年で生まれつつあるんじゃないかとは感じています。
- 鈴木
- ノーザンハピネッツを通じて、人と人の交流やつながりが生まれている、と。

- 水野
- あるブースターさんが話してくれたんですが、その人は関東の高校に進学して、20代で秋田に戻ってきたときに友だちがほとんどいなかったそうなんです。でもノーザンハピネッツができて試合を観に行くようになったら、ブースター同士の交流をきっかけに仲間ができて、今は毎日がすごく楽しいんです、って。
- 鈴木
- ああ、それはすてきなエピソードですね!
- 水野
- はい。ブースターだけでなく、ホームゲームの運営を手伝ってくれているボランティアスタッフもそうです。最初は他人同士だったと思うんですが、今はアウェーの試合を一緒に観に来てくれたりしています。

- 鈴木
- 会場にいるみなさんの表情を見ていると、本当に楽しんでいる様子が伝わってきますよね。この試合を観に来るの、楽しみにしていたんだなあって。
- 水野
- ありがとうございます。そうですね、ノーザンハピネッツがあることで「週末に試合があるから仕事頑張ろう」っていうように、日々の暮らしの支えに少しでもなっていればいいな、と思います。
- 鈴木
- 試合もですが、ピンクのTシャツ着て行こうとか、応援グッズを持って行こうとか、そういうこともワクワクしますよね。

- 水野
- そうそう、応援グッズはうちが「これを使ってください」と指定するより、ブースターそれぞれのオリジナルがあっていいと思っています。例えば、選手の名前や顔写真をうちわにしたりだとか。
- 鈴木
- あ! 今日の試合でも見かけました!
- 水野
- 何がいいかって、週末の試合に向けて「今度の試合にこれを作って行こう」とか、ノーザンハピネッツのことを考える時間があるということ。そういう時間がプロスポーツを「文化」としてこの地域に根付かせていくことでもあるのかなって。文化って、いかに市民の生活に入っていくかなので。
- 鈴木
- 実際「文化」として根付いてきている、と感じていますか? 秋田は熱いね、と言われることも多いと思いますが。
- 水野
- いえ、まだまだだと思います。「秋田はすごい」と言ってもらえたりもしますが、野球やサッカーの規模には全然追いつけていない。だからもっと熱狂してくれる人を増やしていきたいなと。そのためにも、ノーザンハピネッツというチームを、日常生活で話題にしてもらうことがすごく重要だと考えています。
- 鈴木
- 「強いチーム」であることも、その要素のひとつなのかな、と思うのですが。
- 水野
- うーん……。たとえばあくまで極論を言うと、僕は「常に強いチーム」でなくてもいいのかな、と思っているんです。
- 鈴木
- え、そうなんですか?

- 水野
- もちろん強くありたいですし、今シーズンはB1(1部リーグ)からB2に落ちてしまったので、翌シーズンのB1復帰を目指しているところですが……。プロ野球でいえば、広島カープが日本シリーズを逃して職場や家庭で話題になるみたいに、ノーザンハピネッツが2部に落ちたこともあちこちで話題になるぐらいになればいいなって。
- 鈴木
- ああ、確かに広島カープ、あと阪神なども地域密着度がすごく高いというか、低迷している時期でもファンが熱烈に応援しているイメージがありますね。
- 水野
- ただ、そのためにはもちろん、強い時期もなければいけないと思っています。広島も阪神も優勝した経験があって、地元の人たちはそのときの感動をずっと覚えている。今でもきっと「あの優勝のときは……」とか話をして盛り上がったりしてる(笑)。

- 鈴木
- なるほど。その時の感動体験があるから、熱が冷めない。
- 水野
- 私たちも、そんな風に地元に愛され続ける存在でありたいですし、だからこそ、いつかB1リーグで優勝して、秋田の人たちと大きな感動を分かち合いたいです。日本一になったら、きっとみんなすごく喜んでくれるだろうなと思うし。
- 鈴木
- 優勝パレードとなったら、通りがピンクで埋め尽くされたりするんでしょうね。盛り上がるんだろうなあ。ぜひその光景を見てみたいです!
- 水野
- 秋田がスポーツで日本一になるっていうのも、なかなかないので。プロバスケでそれを実現できたらいいなと思います。

ノーザンハピネッツが「交流の場」そして「暮らしを楽しくするもの」であってほしい、と話していた水野社長。では実際、ブースターにとって、ノーザンハピネッツはどんな存在なのでしょうか? 試合会場の声をご紹介します。

家族3代で応援するようになって3シーズン目。ホーム戦のある週はみんなで観に来ます。「今週も試合だね」と、毎日の話題にも、ノーザンハピネッツは欠かせません!

ノーザンハピネッツは家族共通の趣味! 今、子どもたちは選手の名前を覚えるのが楽しいみたい。仙台など近隣のアウェー戦は、家族旅行も兼ねて観に行ってたりするんですよ。

最初はテレビで試合を観ていたんだけど、実際に会場に来てみたら楽しくて!メガホンも自分で作ったのよ!今日は一人で観に来たんだけど、会場で知り合った人たちがいるから、全然寂しくないです。

「なんか盛り上がっているなあ」と思って試合を観に来てみたら、熱気や一体感がすごくて。それ以来、夢中になってしまって、ホーム戦はほとんど来ています。バッグにも選手のバッジをいっぱい付けてますよ〜!

冬の寒い時期に熱くなれるのが、ノーザンハピネッツ! 秋田の冬って、今までは家に閉じこもるか、雪で遊ぶかしかなかったけど(笑)。試合会場で子どもから年配の人まで、一緒になって盛り上がれるのが魅力だと思います。

ホームはもちろん、アウェーもできる限り応援に行ってます。魅力はいろいろあるけど、お互い名前を知らなくても、一緒に秋田のチームを応援できるこの一体感がいいなって。秋田ブースターのノリと勢い、日本一だと思います!

秋田市まで2時間ほどかけて、毎回大館市から駆けつけてます!この顔写真のついたのぼりやボードは、業者に頼んで作ってもらっているオリジナルです。どうしてそこまでするのって? プロスポーツがなかった秋田を、ひとつにして、楽しませてくれるから!

子どもが大きくなり、バスケを始めた2〜3年前から来ています。ビッキー(マスコットキャラクター)をイメージしたこの帽子は、家族5人分お揃いで作りました。これをかぶっていつも応援しています!


どのブースターさんからも「ノーザンハピネッツ愛」が溢れるコメントをいただいて、話を聞くこちらまで楽しい気持ちになりました。そして同時に、胸がいっぱいになりました。「できるわけない」と言われていたプロスポーツクラブの誕生が、秋田で暮らす人々の日常をこんなにもワクワクさせていることに。
「まだ会場で試合を観たことがない」というあなた。きっと、いえ絶対、もったいないことをしていますよ! ぜひ一度、試合会場でその熱気を、そして「秋田愛を叫ぶ」楽しさを、体感してみてほしいです。
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