秋田のいいとこ 旅で出会った、ローカルスタンダード
美郷町編

編集・文:矢吹史子 写真:高橋希

会社を辞めて、ブロガーという道を選んだ男

2019.07.24

「じゃんごブログ」というブログがあります。これは、美郷町に暮らす25歳の男性がやっているもの。
内容はすべて、本人のリサーチや体験に基づいた、秋田にまつわる話題。「秋田を面白くしたい」という思いを全面に出しながら毎日更新しており、月間PV数は9万に及んだこともあるほど。そのページがこちら。

そして、じつはこの方、このブログの広告から収入を得る、いわゆる「ブロガー」として活動することを決意して、勤めていた会社まで辞めてしまったというのです。
いったい、どのような思いでそのような行動に出たのでしょう? そして、秋田でそんな生活は成り立つのでしょうか?

じゃんごブログを運営している、じゃんごさんこと、藤田いたるさんのご自宅を訪ね、お話を伺いました。

「じゃんご」とは、秋田弁で「田舎」を意味する。

これは本当のやりがいなのか?

——ブログ、いつも読ませていただいているんですが、これをやっていくために一念発起、会社を辞められたとのこと。

じゃんごさん
じゃんごさん
はい。仕事を辞めたのは、2018年の9月です。

——まだ、1年経ってないんですね(取材は2019年7月)。

じゃんごさん
じゃんごさん
そうですね。新卒で入った県内の企業で2年半、営業をしていたんですよ。

——県外に出ていたこともあるんですか?

じゃんごさん
じゃんごさん
大学時代は山形で過ごしました。東北芸術工科大学の企画構想学科というところで、イベントの企画とか地域ブランディングというのを学びました。

——ということは、もともと地方で何かしたい、という気持ちはあったということですか?

じゃんごさん
じゃんごさん
そうですね。いずれは秋田に貢献したいなって、ふわっとは思っていました。そう思うようになったのは、大学に行ってからですね。秋田を離れて一人暮らしして、そのころって、新聞とかメディアでも「限界集落」とか「秋田は人口100万人切ります」とか言われるようになってきた時期だったので、秋田のことを思うようになっていました。

——都会へ行くという考えはなかったんでしょうか?

じゃんごさん
じゃんごさん
大学時代は映像作品を作ることも好きで、インターンシップで東京の映像会社にも行ったんですよ。やっぱり都会ってかっこいいですよね。なので、ちょっと考えたんですけど、この家もあるし。私、長男なんですよね。
現在は実家で、両親、祖父母とともに暮らしている。
じゃんごさん
じゃんごさん
今は「長男だから」なんて関係ないって言われますけど、「この家を守らないといけない」っていう思いが自分にはあるし、秋田に何かしら貢献して、解決に繫がることをしていけたらなっていうことで帰ってきました。

——そこで、秋田の企業を選んだ。働き始めてから仕事を辞めて今に至るまでに、どういう心境の変化があったんでしょうか?

じゃんごさん
じゃんごさん
私が一番やりたいのは、秋田を良くしたい、楽しい秋田を作りたいっていうことなんですよね。

——就職した企業でも、そういったことはできたのでは?

じゃんごさん
じゃんごさん
はい。実際、秋田を面白くしていくことを目指している会社だったので就職したんですよ。私は若くてそこそこ動けたんで、めちゃくちゃ重宝されましたね。でも、だんだんと「これは自分にとっての本当のやりがいなんだろうか?」って思うようになってしまったんですよ。

——それは、会社自体へのストレス、というよりは、自分自身の問題として?

じゃんごさん
じゃんごさん
そうですね。私は会社にいたときは八方美人で。上司から好かれるようにニコニコして、イヤとはいっさい言わずに……。超好青年でした(笑)。でも、そうやっていたら心がすり切れそうになってしまって。決してそういう社風だったわけじゃなくて、昔から、自分は上に誰かいるとそうなってしまうんですよ。
じゃんごさん
じゃんごさん
本当の自分の心を閉じ込めてしまっていたんですね。今みたいに言いたい放題な人間じゃなかった。そんな自分が嫌だったんですよね。
そのまま働いて「これが会社、これが秋田の生き方」って思うようにしようかとも考えましたけど、「自分の心を解放したい、もっと自分なりに秋田を発信していきたい」と思うようになって……。

——それで、会社を辞めることに。

じゃんごさん
じゃんごさん
はい。結局のところ、自分大好き人間なんですよね。それと「他人と違う人でありたい」っていう部分が強くて。そこのプライドが高いんです。それに「ダメでも、次は行ける」っていう自信もあって、やりたいことが無限に出てくるんです。だから毎日ブログを更新できるんですよね。

見せ方とハッタリ

いつもブログを更新している仕事部屋へ。

——まだ発展途上かもしれませんが、今のやり方はご自身の中で満足していますか?

じゃんごさん
じゃんごさん
思い描いていたとおりやれています。自分主導なんで、やりたい放題なんですよ。仕事をやるにも断るにも自分次第。以前より決断力は必要なんですけど、ストレスフリーの状態です。家族もすごく応援してくれてます。
じゃんごさん
じゃんごさん
会社を辞めたばっかりのときは、収入が2〜3万くらいだったんですけど、今は当時の給料に近づいたり、超えたりする月もあります。自分的には上出来だなって思ってます。

——ブログだけではそこまでにはなりませんよね?

じゃんごさん
じゃんごさん
今の働き方としては、自分のブログのほかに外部からの執筆もやっていて、いわばフリーランスですね。最近は、東京からもライターや撮影の依頼が来たり。

——そこに至ることができたのは、なぜなんでしょう?

じゃんごさん
じゃんごさん
まずは、秋田でブログをやっている人が少なかったんですよ。そこにさらに、顔出しして、年齢も明かして、思いを語って、こうやってブロガーで食っていきます!
って、意思表明をはっきりしたんですよね。ほかのメディアにも注目されるように。
じゃんごさん
じゃんごさん
それがあったから、こうやってなんも大学さんにも取材していただいたり(笑)。秋田の雑誌や新聞にも取り上げてもらって、知名度を上げていくようにしました。

——自己プロデュースを戦略的にやっているんですね。

じゃんごさん
じゃんごさん
そうですね。やっていくにあたっては、ストーリー性が大事だと思っていて、常に見せ方を意識してやっているんです。ハッタリみたいなところもありますけど「こういう思いでやっている、こういうふうに共感してもらいたい」っていうのは、狙って、自分なりに考えて露出しています。

「秋田でもできる」を伝えたい

じゃんごさん
じゃんごさん
秋田が好きなんですよね。特に、今暮らしてる場所は自然もあってのんびりできて好きなんです。それと、月並みになりますけど、秋田の人のあったかさとか、このゆるさは、すごくいいんですよね。
自宅前には山と田んぼの景色が広がる。
じゃんごさん
じゃんごさん
でも、秋田に暮らす人たちは「秋田は何もない、秋田はつまらない」って言うんですよね。それを自分なりに変えていきたい。毎朝、起きたらワクワクできるような場所にしたいって、いつも思っていて……。
じゃんごさん
じゃんごさん
そのためには、まずは自分が秋田を楽しんで、自分が作ったメディアを通してみなさんに楽しんでもらえたらなって思ってます。

——じゃんごさんの姿に倣って、自分から発信したいという人も出てくるかもしれませんね。

じゃんごさん
じゃんごさん
そのために「秋田ではこういう働き方もできるんだよ」と伝えていきたいとも思っています。今、秋田で稼ぐとなると、役所に入るとか、医療系とか、決まってしまっているんですよね。それもイヤなんですよ。

——でも、自分が先駆者として作っていくというのは勇気もいりますよね。怖くないですか?

じゃんごさん
じゃんごさん
そこらへんは全然ないですね。「今やっていることがダメでも、なんとか生きていける」って思っているので。正直、最終、実家のスネをかじればなんとかなるって思ってます。そういうやり方もアリだと思うんです。

——家族の存在に甘えている訳ではなくて、基盤があるから思い切ってやっていける、ということでしょうか?

じゃんごさん
じゃんごさん
そうですね。そして、ダメでも正解になるまでやる。「俺はこんなもんじゃない!」って思いながら、やり続けるんだと思います。

——これからやっていきたいことってありますか?

じゃんごさん
じゃんごさん
たくさんあるんですけど、例えば「都会から秋田に帰ってきたんだけど、どうしよう」って悩んでいる人たちに、何らかの形で協力したいし、チームを作って一緒に何かをやってみたいなっていう思いはあります。でも、秋田ではなかなか仲間がいないんですよね。若い人と組みたいんですけど、どこにいるのかわからない。
じゃんごさん
じゃんごさん
あとは、秋田美人企画ですね。私、アイドルが好きなんですけど、秋田のアイドルを作りたいですね。
今のアイドルとはまた違った、例えば、秋田の文化にやたら詳しいアイドルとか。一人ひとり詳しいコンテンツが違っていて、グルメ担当の子は、秋田の美味しいものをめちゃくちゃ知ってる、とか。
自分自身の見せ方やストーリー性の作り方は、アイドルやタレントのDVDや本から学ぶことも。
じゃんごさん
じゃんごさん
それと、秋田県を代表するような仕事をしていきたいです。例えば、「なんも大学」があって、その同じ並びで「じゃんごブログ」があるくらいの。

——えっ! それならば手始めに、なんも大学のライターをやってみませんか?

じゃんごさん
じゃんごさん
はははは! まじすか? ……じつは、取材だって言われたとき、そういう話も2ミリくらいあるんじゃないかって思ってたんですけど(笑)。
じゃんごさん
じゃんごさん
これ、即答したほうがいいですよね? やります!!

ひょんなことから、ライターをやっていただくことになりましたが、同じウェブメディアとして、なんも大学がじゃんごブログに学ぶべきことはたくさんあります。これからのじゃんごブログはもちろんのこと、なんも大学とじゃんごさんによる化学変化を楽しみにしていてください!

【じゃんごブログ】https://dochaku.com/

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