なくてもいいもの? あきたタウン情報がつくってきた、たくさんの「きっかけ」。
「あきたタウン情報」。秋田県民ならば、誰もが一度はそのページをめくったことがあると言っても過言ではないほどの、秋田を代表する月刊情報誌です。創刊は1985年。毎号2万5000部を発行し、長きにわたり、秋田の食、店、人など…

編集・文:矢吹史子 写真:船橋陽馬
2020.10.14


あわい色調の格子柄。モダンで、英国のチェック柄にも通じる品格を感じさせるこちら、じつは、秋田に200年以上続く「秋田八丈」という絹織物なんです。
八丈島で生まれた絹織物が全国に伝わり、秋田では、地元産の植物を使った染料で染める技術が確立し「秋田八丈」として評判となりました。
長きにわたり秋田市の「滑川機業場」で製造されてきましたが、平成15年に工場が廃止となります。それを、従業員であった奈良田登志子さんが、地元北秋田市に工房を移しつつ継承。「ことむ工房」を構え、現在、唯一の秋田八丈の工房として稼働中です。


工房を訪ねてみると、風格ある木製の機械がガシャンガシャンと音を立てて生地を作り出していました。




——ずいぶんと細い糸なんですね。



——さらに細い!

——まずは、この糸を染めていく?




——染めたものを織機で織っていく。


——1800本!?ものすごく細かい作業!気が遠くなりますね。

——一反(約13メートル)織るのにどのくらいかかるのでしょうか?


——この細い糸をどう組み合わせるか?という、デザインのところからやられているんですよね?




——奈良田さんは、この仕事をどのくらいされているんですか?


——こういう職人さんに憧れていた?

——でも、いまもこうして続けられているということは、何か思いがあるのでは?


——この機械は秋田市の工場で使っていたものを譲り受けたとおっしゃっていましたね。

——譲り受けたというのは、奈良田さんに継いでほしいという、先代の期待もあったのでは?



——「飴と鞭」なんですね。


——作っているなかでの楽しい部分というのは、どういうところですか?

——縦と横がかけ合わさったときの変化?


——八丈の生地は、着物にすることがほとんどですよね?着物を着る方も減ってきている時代。これからに向けて何か違うものに応用できたらいいですよね。スカートとか、ブラウスとか……。


——着物にもせずに?

——なんだか作り手の気持ちとしては複雑ですよね。




——伝統を続けていくには少しずつ変化もしないといけなそうですよね。


——「ことむ工房」という名前には、どんな意味があるんですか?

——こうしてお話していると、「続き」として作りながらも、充実されているようにも見受けられます。


——贅沢?

——八丈があるからこそ得られる喜びや、人との出会いがあるんですね。それが、奈良田さんが八丈を長く続けてこられた理由なのかもしれませんね。
【秋田八丈 ことむ工房】
〈住所〉北秋田市綴子字戸草沢29
〈TEL〉0186-62-0118
秋田八丈は、あきた県産品プラザ(秋田市アトリオン)、秋田空港、道の駅 たかのす大太鼓の里などで購入できます。