一芯二葉。檜山の茶園主×神主。
能代市・檜山(ひやま)地区にある「元祖檜山茶大髙園(がんそ ひやまちゃ おおたかえん)」で生産されている檜山茶は、280年以上に渡って受け継がれてきた歴史のあるお茶です。「北限のお茶」としても知られ、商業生産されている日…
編集・文:竹内厚 写真:船橋陽馬
2018.11.21
藤里町といえば、世界自然遺産に登録されている白神山地への玄関口として知られています。
白神山地に広がるブナ原生林は世界最大級。ただし、2003年から白神山地の核心地域への入山は指定されたルートに限定され、事前の届出制に。今回は、そうした届け出も必要なく、誰もが気軽に訪れることのできる岳岱自然観察教育林の話です。
岳岱自然観察教育林でひとつの目玉とされているのがこちら、森の主といわれる400年ブナです。まずは、その雄大さを伝えるために、樹上から下へ順に写した4枚の横写真をどうぞ。きっちりとつなげた写真ではないので、脳内補正していただければ。
岳岱自然観察教育林の優れているのは、車を停めて徒歩5分でこの400年ブナまでたどり着けるところ。車椅子でも行くことができるようにとウッドチップの歩道が整備されています。
ブナ林といっても、当然、ブナだけではなく、イタヤカエデ、サワグルミなどさまざまな広葉樹が育ち、足もとへ目を向けてもシダ、コケ、キノコなどの姿がいたるところに。大きなものから小さなものまで、原生的な自然を全身で体感することができます。
岳岱自然観察教育林へは、藤里町の中心部から車で約40分。藤里町の中心部には、「白神山地世界遺産センター藤里館」が設けられ、ひとりの自然アドバイザーが常駐しています。菅沼慶太さんは、2015年に着任。小中学校などの教育機関を対象に出張授業やガイドウォークなども行いながら、白神山地の巡視員としても活動されています。
すこし時間はさかのぼりますが、岳岱自然観察教育林を訪ねる前日、世界遺産センターで会った菅沼さんに話を聞きました。
——白神山地と日常的に接してみて、菅沼さんは白神山地の魅力をどう説明していますか。
——標高という点では特別なところがない。
——標高が高くない分、行きやすい場所なんでしょうか。
——原生的ってそういうことなんですね。
——ちなみに、どうして菅沼さんは藤里町へ?
——自然のジャンルでいえば魚の人だった。
——藤里町に来てから学ぶことが多かったんですね。
そんな菅沼さんに岳岱自然観察教育林で何を見てきたらいいのか、私たち取材チームへの宿題という形で2つのお題を出してもらいました。突然の無茶ぶりでしたが、快くその場で考えていただきました。ありがとうございます。
◎菅沼さんからの宿題1
「ハートマークのような葉が3つ、クローバーにそっくりな葉が岳岱にたくさん生えています。その葉がすっぱいので、かつて林業に携わる人たちは疲れたときに食べていたそうです。その葉を見つけて食べてみること」
◎菅沼さんからの宿題2
「白神山地には柑橘類の木が1種類しかありません。岳岱にもその木がつける小さな実がまだ落ちていると思うので、それを拾って匂いをかいできてください」
翌日、訪れた岳岱自然観察教育林では、菅沼さんからのお題の答えを探すのも目的のひとつとなりました。
もうひとつのお題探しはかなり難航しました。ヒントだった「400年ブナのそばにある大木」という言葉を聞き逃していたのです。
自然アドバイザーの菅沼さんに聞けば、白神山地のさまざまな魅力をいくつでも教わることができそうです。白神山地を訪ねる前にはぜひ世界遺産センター「藤里館」へ。
岳岱自然観察教育林から車で10分ほど林道を進めば、田苗代湿原にも立ち寄ることができます。種々の高山植物が咲き乱れるのは春から夏にかけて。訪れた日は、紅葉を前に色づきはじめた湿原と駒ヶ岳を目にすることができました。
田苗代湿原は、駒ケ岳の登山口から徒歩15分。そして、標高約1158mの駒ケ岳からは、白神山地が一望できるそうです。今度はもっと山を登れる格好で訪ねます。
【岳岱自然観察教育林】
〈住所〉山本郡藤里町藤琴沢国有林
〈問い合わせ先〉0185-79-3001(白神山地世界遺産センター「藤里館」)
【田苗代湿原】
〈住所〉山本郡藤里町藤琴沢国有林
〈問い合わせ先〉0185-79-2115(藤里町商工観光係)
【白神山地世界遺産センター「藤里館」】
〈住所〉山本郡藤里町藤琴里栗63
〈時間〉4~12月 9:00~17:00 / 1~3月 10:00~16:00
〈休館日〉火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
〈入館料〉無料
〈TEL〉0185-79-3001
〈HP〉http://www.shirakami-fujisatokan.jp/