秋田のいいとこ 旅で出会った、ローカルスタンダード

編集・文:竹内厚  写真:船橋陽馬

フォトジェニックな五城目

2018.06.13

五城目町ごじょうめまちは、深い森と山が身近にある一方で、平野部には水田が広がる林業と農業の町。グッド・バイブレーションほとばしるスポットも少なからずあります。五城目町を取材でまわった3日間、船橋陽馬さんが撮影した沁みる景色をお届けします。

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五城目町の現在の観光ガイドに必ず掲載されているのが「ネコバリ岩」。県道で車を降りて約400mほどの林道を歩いていけば、馬場目ばばめ川の水音が聞こえてきます。岩を眼にする前から、すでにあたりはいい気が満ちていました。

そして、姿を現したネコバリ岩がこちら。

清流のほとり、川をなかばふさぐようにしてある約6mの巨岩。その岩の上部に巨木が根を張り、まるで岩が森に取り込まれたような景色が生まれています。

よく見ると、岩に張りつく樹木もスギやカエデなど複数種あり。巨岩、巨木、清流。その不思議な調和が楽しめます。

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福禄寿ふくろくじゅ酒造の渡邉康衛さんの話にもありましたが、森山もりやまは五城目町のシンボル的存在。標高325mと決して高い山ではないですが、平野部に独立峰のように突き立った存在感は、母なる山という形容がぴったりです。

そんな森山、山頂からの眺めがこちら。

南西には、五城目町から八郎潟町にかけて広がる水田。東を望めば、山間部を抜けていく旧街道(現・国道285号)と集落が。北東に向かっては、山また山。
とりわけ、田植え時期の水を張った水田に夕日が沈む眺めは、絶好の撮影ポイントとして人気が高まっているそう。

森山は、ひと文字目の「も」にアクセントを置いて読むのが五城目流。

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こちらは雨の日に訪れたので、よりフォトジェニックで雰囲気のある眺めとなりました。
樹高20m、推定樹齢700年というケヤキです。

すでに廃寺となった帝釈寺たいしゃくじの跡地にひっそりとたたずむ大樹。集落のお墓がすぐそばにあり、墓守のようでもありました。

帝釈寺の参道の入り口だったという場所には樹高30mを超える大杉も。こちらは推定樹齢300年。今はなき帝釈寺のありし日の姿がしのばれます。

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森山の山頂からも見えていた水田風景。五城目町大川あたり。

ネコバリ岩と私。

季節や天候によっても、また印象が全然違ってきそうです。

【ネコバリ岩】
〈住所〉南秋田郡五城目町馬場目 周辺

【森山】
〈住所〉南秋田郡八郎潟町浦大町 周辺

【帝釈寺のケヤキ】
〈住所〉南秋田郡五城目町馬場目字岩城 周辺