しっぽが繫ぎ、守るもの。~三種町・かわい農場~
「三種町(みたねちょう)の農場で売っている豚肉が、ものすご~く美味しいの!」なんも大学カメラマンの高橋希さんから、気になる情報を入手。そこは「かわい農場」といって、自家農場の豚肉で精肉や手造りハム・ソーセージを販売してい…
編集・文:矢吹史子 写真:高橋希
2021.02.03
横手市十文字町にある「スーパーモールラッキー」。生鮮食品、お惣菜はもちろん、日用品、DIY用品、家電、衣類、おもちゃ、本……ここで手に入らないものはないと言っても過言ではないほど、充実した品揃えの総合スーパーです。店内は、老若男女問わず、常に賑わいをみせています。
このような充実ぶりのラッキーですが、じつはここには、買い物を楽しむだけではない魅力があるんです。
それは、会社として、地域貢献に力を入れているということ。今回、様々な事例を伺うなかで、これからの地域と企業の理想的な関わり方の実践がなされている様子が見えてきました。
ラッキーを運営されている、株式会社マルシメ経営企画室の奥ちひろさんにお話を伺っていきます。
——店舗の入り口で見かけて驚いたんですが、お買い物バスがあるんですね!
——これは無料で運行しているんですか?
——自社でバスを運行させるというのは、なかなか大変なことですよね。このような取り組みをしようと思われたきっかけはどういうものだったんでしょう?
——確かに、高齢の方、とくに女性は運転免許を持っていない方も多いですし、冬場はとても雪深い地域なので、ここまで運転してくるというのもハードルが高いですよね。
バスで来て、自由にお買い物ができることはもちろんなんですが、バスの中で友だちと話をするのが楽しいという声も聞きますね。バスが一つのコミュニティになっているんですよね。
買い物は早々に終えて、バスの仲間とフードコートでおしゃべりするのを楽しみにしているという方も多いんですよ。
それから、横手市増田町の狙半内地域では、バスが一台通ると車がすれ違うことが難しい場所もあるので、狙半内共助運営体さんにも協力いただいて、対向車が来ないように交通整理してもらいながら運行したりしているんですよ。
——こちらのチラシに、近隣の店の情報が載っているのを見ました。しかも、チラシの半分以上の面積を割いた大きな扱い。これはどういうことなんでしょう?
——ここで食べる機会ができることで、実際の店舗にも行ってみたいという気持ちになりますよね。
——店内には「ファーマーズマーケット」というコーナーがありますね。これはほかの売り場とどう違うんでしょうか?
現在、約400の生産者さんが会員になっています。ここでは、生産者さんがお客様や店頭スタッフと、商品の話や世間話をしながらコミュニケーションをとっているんですよね。 ただ商品を並べるだけでなく、この場があってこその交流が生まれて、その交流が生きがいになっているという方もいるようです。
——お困りごと相談?
——へ〜〜!
——どのくらいの件数の相談が来るんですか?
——そんなに! 冬場は大変そうですね。
——ご自身で!?
——なるほど〜。でも、秋田県全体が高齢化しているので、消費者としては、こういったサービスがあるのは嬉しいですよね。
——担い手を作っていけるのかというのも、とても大きな課題になってくるんですね。要望はどんどん増えてくるでしょうし……。
——さまざまな事例を伺いましたが、マルシメさんは「買い物をする場」ということを軸としながら、周辺の消費者、生産者、事業者、個店を支え合うような取り組みをされているんですね。
——こういった取り組みに至ったのには、どういう思いがあるのでしょう?
——私も以前来たときに、お見かけしました!
——どこか、公民館のような機能もあるんですね。この場所があることが、心のよりどころになっている方も少なくない印象です。
方針の4つ目にある「地域や人生に対して諦めではなく、挑戦できる風土の醸成に寄与します」というのも、素晴らしいですね。
——店内を回らせてもらって、それぞれの売り場の担当の方が、商品をどう魅力的に見せていくか、とても工夫されているのを感じました。
従業員がやりがいを感じながら働いているから、消費者にも楽しさが伝わってくるのかもしれませんね。
【スーパーモールラッキー】
〈住所〉横手市十文字町仁井田字東22-1
〈TEL〉0182-42-3996
〈営業時間〉9:00~21:00(お盆・年末年始は除く)
〈HP〉http://sm-lucky.com/