秋田のいいとこ 旅で出会った、ローカルスタンダード

編集・文:竹内厚 写真:船橋陽馬

大仙のグッド・ルッキング
その2 姫神山とばっけ杉、旧池田氏庭園

2018.07.18

大曲駅の周りで取材をしていると、姫神山ひめがみやまと姫神公園のことがよく話題にのぼりました。
姫神山は、正式名称では大平山たいへいざん。標高およそ390m。山の登山口にあたる位置にある姫神公園までは、車で向かうことができます。

[FOG coffee]の佐々木遊ささきゆうさんとの会話のなかで、“姫神公園から登山道をあがっていくと、その頂上までの道中に分岐点があって、ぐりっと曲がるとむちゃ太い杉がある、それがすごくいいんです”、そんな話を聞きましたので、その杉にも会ってきました。

通称、ばっけ杉。1本の大木から幾重にも幹が分かれて、競い合うように上へ上へと伸びています。

ばっけ杉までは姫神公園の登山口から徒歩約30分。わりと本格的な登山道を進みますが、道中の景色も気持ちのいいものでした。

この日、夕焼けがなかなかドラマチックだったので、玉川と雄物川おものがわの合流点あたりへも。
大仙市には市営のサケの孵化場ふかじょうがあり、サケの稚魚の放流も行われて、秋にはサケが遡上します。

【姫神山(正式名称:太平山)】
〈住所〉大仙市神宮寺三ツ森腰廻

【姫神公園】
〈住所〉大仙市花館松山1

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旧池田氏庭園は、大正期に1000町歩を超える田畑を所有、小作人は1250人を数えたという大地主、池田家の旧邸宅敷地。

仙北平野に広がる田園風景のなか、はるかに奥羽山脈の稜線りょうせんを望むという絶好のロケーションは、世界の中心に立ったような錯覚さえ覚えます。

庭園を作庭したのは、日本の公園デザインの先駆者としても知られる長岡安平。秋田でいえば、秋田市の千秋公園が長岡の代表作のひとつとして知られています。

そして、庭園のなかには、かつて私設図書館として使われてもいたという、白いタイル張りの洋館が。庭園とのコントラストが鮮やかです。

もうひとつの名物が、国内最大級という雪見灯籠。
笠の面積だけで8畳間ほどの大きさがあり、推定重量はおよそ24トン。男鹿から積み出した男鹿石を船とソリで運び入れたとされ、のべ1000人が動員されたという記録がのこるそうです。

なお、旧池田氏庭園から車で15分ほど離れた大仙市の角間川かくまがわ地区にある、こちらも大地主だった本郷家の邸宅が昨年から大仙市の所有となり、折々に特別公開されているそうです。黒塀に囲まれた築100年以上の邸宅に、旧池田氏庭園とおなじく長岡安平が設計した日本庭園を見ることができます。

【国指定名勝 旧池田氏庭園】
〈住所〉大仙市高梨字大嶋1
〈時間〉9:00〜16:00(最終入園15:30)
〈休園日〉月曜日(祝日の場合は翌日)
〈入園料〉大人(高校生以下無料)300円
     団体割引(20名以上)240円
     年間パスポート 700円
〈HP〉http://www.city.daisen.akita.jp/docs/ikedashiteien/2013110400095/

※2018年度の旧本郷家住宅の特別公開期間は以下の通りです。
詳細はHPをご覧ください。
夏季 8月24日(金)〜8月26日(日)
秋季 10月20日(土)〜11月18日(日)
〈HP〉http://www.city.daisen.akita.jp/docs/kyuhongouke/2018042700022/